最近SNSやYouTubeなどで“異次元の体”を目にすることが増えてきました。
その陰で密かに使われているのがステロイド(アナボリックステロイド)。
一見夢のような肉体変化をもたらしますが、副作用という代償があまりにも大きいことは、意外と知られていません。
この記事では、ナチュラルで10年以上筋トレを続けている僕が、
「筋肥大の裏に潜むリスク」=ステロイドの副作用について、丁寧に解説していきます。
ステロイドとは何か?

~医療用から筋肥大目的へ、危険な転用の現実~
「アナボリックステロイド」とは、筋肉を増やす作用を持つ合成ホルモンの一種です。
本来は、医療現場で筋萎縮の治療やホルモン補充療法などに使われてきました。
しかし、近年では筋肉を早く大きくしたいという目的で、スポーツ選手やトレーニーの間で“自己使用”されるケースが増えているのが現実です。
使用方法と入手経路(※注意喚起のための一般的情報)
こうした使用者の中には、以下のような方法で摂取している例があるようです:
- 筋肉注射タイプ(週1〜2回の自己注射)
- 経口タイプ(錠剤)(毎日摂取)
- 一部では複数種類を組み合わせる「スタック法」をとるケースも報告されています
また、国内では医療機関での処方を除き、アナボリックステロイドは一般的に入手できません。
しかし、SNSや海外通販サイトなどを通じて個人輸入という形で入手しているケースが後を絶たないようです。
注意:これは極めて危険で違法となる可能性もあります。
薬機法により、処方薬の個人輸入・使用には制限があります。
安易な自己判断による使用は、重篤な副作用や健康被害を引き起こす恐れがあります。
また、違法な成分が含まれている粗悪品が混在していることも多く、安全性は保証されていません
このブログでは、使用を推奨する意図は一切ありません。
あくまで情報提供と副作用のリスクを正しく伝えることを目的としています。
ステロイドの副作用を徹底解説

~筋肉と引き換えに、失うものが多すぎる~
アナボリックステロイドは、短期間で劇的な筋肥大をもたらす反面、身体や精神に大きな副作用を引き起こします。
ここでは、実際に起こる代表的なリスクを部位ごとに詳しく紹介します。
ホルモンバランスの崩壊(男性機能の低下)
ステロイドを外から入れることで、体は「自分でテストステロンを作らなくていい」と判断します。
これにより自然なホルモン分泌がストップし、以下の症状が現れます:
- 睾丸の萎縮(精巣の縮小)
- 性欲低下・勃起不全・不妊
- うつ症状や不安定なメンタル
自然なホルモン分泌が戻らないケースもあり、回復には長期間または永久的な治療が必要になることも。
女性化乳房(通称:ガイノ)
体内のホルモンバランスが崩れることで、エストロゲン(女性ホルモン)の影響が強まると、
男性であっても乳房が膨らむ症状(女性化乳房)が出ます。
- 通称「ガイノ(gyno)」と呼ばれ、海外では非常に一般的な副作用
- 見た目の問題だけでなく、痛み・炎症を伴う場合も
- 進行すると外科手術での除去が必要になるケースもあります
肝機能障害(特に経口ステロイド)
- 経口タイプのステロイドは肝毒性が高く、肝臓への負担が非常に大きい
- 肝数値の異常(AST・ALT)・黄疸・肝炎・腫瘍形成など深刻なリスクあり
肌への影響(ニキビ・脱毛)
- 皮脂分泌が活発になり、顔・背中に重度のニキビが発生しやすくなる
- DHT(ジヒドロテストステロン)の増加により若年性脱毛(AGA)が進行しやすくなる
心血管リスクの増加
- 善玉コレステロール(HDL)が低下・悪玉(LDL)が上昇)
- 動脈硬化・高血圧・心筋梗塞・脳卒中のリスクが高まる
- 若く健康な体でも、突然死に至るケースも報告あり
精神的な副作用(ロイドレイジ)
- 「ロイドレイジ(steroid rage)」と呼ばれる攻撃性・衝動性の増加
- 些細なことで怒りが爆発、暴言・暴力・自己破壊行動に走る人も
- 長期的にはうつ・不安障害・精神依存に陥る可能性もある
内臓肥大(バブルガット)
近年のプロボディビルダーで目立つようになってきたのが、「バブルガット(bubble gut)」と呼ばれる症状です。
- 腹筋は割れているのに、腹部全体が前に突き出して見える状態
- 主な原因は、成長ホルモン(GH)やインスリンの過剰使用による内臓の異常肥大
- 見た目の違和感だけでなく、内臓圧迫による消化器不調や健康リスクも
バブルガットは、美しさを競うボディビルの世界でさえ問題視されるほど、“筋肉を追い求めた代償”として象徴的な副作用です。
なぜ人はステロイドに手を出してしまうのか?

~理想の身体がもたらす強烈な誘惑~
ここまで見てきたように、ステロイドの副作用は身体にも精神にも深刻な影響を及ぼします。
それでも、一定数の人が使用に踏み切ってしまう背景には、目に見える「圧倒的な成果」への強い欲求があります。
短期間で手に入る“理想の体”
- 数ヶ月で筋肉量が大幅に増え、体脂肪も劇的に減る
- 通常では考えられないような“張り・丸み・カット”が出る
- 特に肩や腕の筋肉の丸みは、ナチュラルでは到達しづらく、視覚的インパクトが非常に大きい
SNS映え、自己満足、承認欲求を強く刺激する
競技や大会での“黙認文化”
- 海外のフィジーク・ボディビル大会では、実質フリー使用が黙認されていることもある
- 一部の国内大会でも、表向きはナチュラルを謳いながらも、水面下では使用が横行している
- 「結果がすべて」の空気感が、使用を正当化してしまう土壌になっている
SNS・YouTubeの影響
- ステロイド使用者の中には「ナチュラル」と偽るインフルエンサーも存在
- 若年層が「これくらい努力すれば自分もこうなれる」と誤解しやすい
- 実際には、努力だけでは到達不可能なレベルであることも多い
精神的に追い込まれやすい状況
- 成果が出ない焦り
- 周囲との比較
- 自己肯定感の低下
こうした心理状態の中で、「薬に頼ってでも変わりたい」と思ってしまうのは、人間として自然な感情です。
しかし、それが一生を左右する代償につながる可能性があることを、この記事では改めて伝えたいと思っています。
“ドーピングを認める大会”が現実に開催される時代へ
2026年5月には、アメリカ・ラスベガスでドーピングを公に認めるスポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ」が開催される予定です。
この大会では、筋力・認知・持久力などの限界を競う種目において、薬物使用が原則自由とされており、
「人間の肉体をどこまで強化できるか」を見せることが目的とされています。
スポーツの“あり方”が根底から揺らぎ始めている
こうした動きが今後広がっていくと、スポーツ界は「ナチュラル」と「強化型」に完全分裂する未来すらあり得るかもしれません。
- ナチュラル競技の価値が見えづらくなる
- 若い世代が「薬を使った方がすごい」と誤認する
- SNSやYouTubeで“薬で作られた身体”がスタンダードに見えてしまう
- 一般トレーニーや学生にも薬物使用が広がるリスク
スポーツは「努力・継続・限界への挑戦」という価値に支えられてきました。
しかしそれが、「いかに体を改造し、いかに短期で成果を出すか」にすり替わってしまえば、
それはもはやスポーツというより、“人体実験のショー”になってしまうかもしれません。
僕は違う道を選びたい
だから僕は、今の自分の筋トレスタイルを誇りに思っています。
「薬で作った体じゃない、積み上げてきた体だからこそ意味がある」
そう胸を張って言えることに価値を感じています。
僕がナチュラルで筋トレを続ける理由

~積み上げてきた身体には、嘘がない~
SNSには“異次元の身体”が並び、
世界ではドーピングを前提とした大会まで開催される時代。
そんな中で、ナチュラルで筋トレを続ける僕のような人間は、
正直「遠回りなのかな」と感じる瞬間もあります。
でも、それでも僕はナチュラルでやってきて良かったと、心から思っています。
筋トレは“人生を整える時間”だから
僕にとって筋トレは、
ただ筋肉をつけるための行為ではなく、自分と向き合う時間です。
- 仕事や家庭でモヤモヤしたときも、鉄の塊と向き合うことでリセットできる
- 少しずつでも重量が伸びると、日常に小さな自信が積み上がっていく
- 誰かと比べるのではなく、「昨日の自分を超える」ことが一番のやりがい
それを薬でショートカットしてしまったら、
きっと「自分を信じる力」まで削ってしまう気がするんです。
健康は何よりの資産
僕には守りたい家族がいます。
子どもと全力で遊んだり、妻とカフェで笑い合ったりする時間が、何より大切です。
もし副作用で健康を失ったら、それも全部手放すことになります。
- 筋肉がついても性機能が止まったら?
- 理想の体を手に入れても、心が壊れたら?
- 一時の満足のために、将来の自分を犠牲にする価値があるのか?
僕の答えは「NO」です。
積み上げた筋肉には“意味”がある
- 10年以上かけて培った筋肉だからこそ、重みがある
- 今日は少し調子悪かった。でもジムに行った。
- 「あの頃より成長した」と言える日が増えた。
その1日1日の積み重ねが、僕にとっての“自己肯定”なんです。
筋肉は裏切らない…でも、身体を裏切ってはいけない

この記事では、アナボリックステロイドの副作用、誘惑、そして僕がナチュラルで続ける理由をお伝えしてきました。
ステロイドは、たしかに圧倒的な成果を出せる手段かもしれません。
でもその代わりに失うものは、あまりにも大きい。
- 健康
- 精神の安定
- 男性機能
- 家族と過ごす未来
これらを犠牲にしてまで得た筋肉に、果たして本当の価値があるのか?
読者のあなたへ
筋トレは、「最速で仕上げる」ための競争ではありません。
昨日の自分を超えていくその過程が、何よりも尊い。
- 今日は5kg重くできた
- 毎週のジムが習慣になってきた
- 少しずつ身体が変わってきた気がする
そんな積み上げにこそ、本物の筋肉も、自信も、誇りも宿ると僕は信じています。
そして、ひとつだけあなたに問いかけたいことがあります。
もしステロイドを使って筋肉が増えて、周りから「すごいね」と褒められたときあなたは、その言葉を素直に喜べますか?
それが「薬で作った体」だと自分が知っているなら、
どこかにモヤモヤや罪悪感が残るのではないでしょうか。
ナチュラルで、健康に、継続する。
それは一見遠回りに見えるかもしれません。
でも気づけば、それが一番かっこいい生き方だったって思える日が、きっと来ます。
僕もまだ道半ばですが、これからも一緒に“積み上げ”ていきましょう。
この記事がステロイドに手を出そうとしている誰かの「止めるきっかけ」になれば
それ以上に嬉しいことはありません。
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